トンデモ話は奥で繋がる(117) 23.7.29

トンデモ話は奥で繋がる 「第117夜」
-弟子のクッテネルがお送りします。

≪フリーメーソンの考察 ④≫  

 ★ 澁澤氏から荒俣氏へのバトン
縮荒俣の本 
 第四十七夜「シンクロニシティ」の話で、
小生自身は自分の知りたい内容の書物が、
不意に目に入ってくる経験が多くあるといいま
したが、先日、行き着けの書店で、まさに絶妙
のタイミングで特望の書物が目にとまりました。

 その本こそ、澁澤龍彦氏亡き後、彼のバト
ンを受け継ぐ人物としてうってつけである、博
物学の大家荒俣宏氏が、前年5月に出版した
『フリーメーソン~「秘密」を抱えた謎の結社』です。

 ダン・ブラウンの『ロスト・シンボル』が世に出て以来、『近代フリー
メーソン』
がにわかに衆目を集め、こと日本では、かなりイカれた陰謀
論者ぐらいにしか知られていなかった奇異な内容が、多くの『一般人』に
知られることになったようです。

 「…ようです」というのも、小生自身は『流行本』そのものに、常にマス
コミを操る勢力
が、本質を意図的に隠すための喧伝である可能性を
警戒しているため、超売れ筋のダン・ブラウンの著書についてはその内容
すら知らない有様なのです。

 当然ながら、それに便乗するような書物にもあまり目がゆかないので、
荒俣氏の労作も1年以上、小生の意識外にあったわけです。今回偶然
に目にしたというのも、やはり深層意識によるシンクロニシティを感じ
ずにはいられません。

 さて、本書の荒俣氏自身の『まえがき』にはこう書かれています。

 「 これから長々と解説するフリーメーソンの歴史と思想、
  そして神秘的な技術に関する物語を読んでいただくこと
  で、読者の皆さんが、ダン・ブラウンの新作から最上級
  の知的スリルを感じていただければ、本当に喜ばしい。
  
   それに加え、新作の出来上がりは、正直に告白するけ
  れども、『やられた!』と思わず口走ってしまう程、ショッ
  キングな『秘密暴露』になっているということも、未読の方
  々にはお伝えしておきたい。

   最後に、読者にお勧めしておきたいことが、ひとつある。
  本書はもちろんのこと、ダン・ブラウンの『ロスト・シンボル』
  をお読みになる際に、『純粋知性科学』というヘンテコなキ
  ーワードを記憶しておいていただきたいのだ。

   フリーメーソンと『純粋知性科学』との間に、どんな関係
  があるのか
。その意味が分かれば、あなたは、ダン・ブラ
  ウンの新作に隠されたもうひとつ『コード』を解明できた、と、
  信じてもらって構わない。」

  (荒俣宏『フリーメーソン~「秘密」を抱えた謎の結社』p8
                      《角川ONEテーマ21》より転載)


 小生は、この『まえがき』から、その手の知識においては、日本では第一人
であり、小説の中で書かれている内容については百も承知である荒俣氏
の、苦々しい思いを感じます。

 つまり荒俣氏は、ダン・ブラウンが『フィクション』ならでは許される切り口
で、フリーメーソンの秘密を断定的に見せ付ける展開に『やられた!』と叫
んでいるのでしょう。

 そして、確かにそういう展開で描けば、多くの読者の知的好奇心を惹き付
ける
けれども、事実はもう少し『ズレた』場所にあることを、『一般人』に語ら
ずにはいられなかったことが、本書を書く動機であったのだと思います。

 そして、そのキーワードが『フリーメーソンと純粋知性科学の関係』だと
言っています。以下、荒俣氏の著書も随時引用するとともに、そのキーワード
の意味も考えながら、大陸のフリーメーソンの歴史を探ってみたいと思います。

 ★ ジェームズ1世

 荒俣氏は、大陸でのフリーメーソンの歴史を見る際に、当時のイギリス王
朝の政変
を抜きにしては語れないとしています。以下、『第1部 フリーメー
ソンの歴史』
から要約してみます。

 近代的フリーメーソンが現れた時代、イギリスの王位はスチュアート家
移っており、イングランドとスコットランドの共通の王として、ジェームズ1世
が君臨していました。

 元々スチュアート家の領地スコットランドは、カトリックの王室で、古くイン
グランドと対峙する場合はカトリック勢力を頼りとし、カトリック王国のフラン
スとも親密
な関係にありました。

 また一方で、イギリスの議会派はプロテスタントが多数を占めていたため、
イングランド王とは対立しており、それを利用するための、地元のプロテスタ
ントを通じたルート
も持っていました。

 このため、両国共通の王位にあったジェームズ1世は、『政治問題に無言
を貫く』フリーメーソン
にも関心を寄せ、バチカンの弾圧を受けた、大陸から
プロテスタント系の亡命者達を受け入れていました。

 また、実際の行政は議会に牛耳られていたため、王権神授説を唱えて議
会から独立した王権をめざし、国民の中間層・中立層を大切にし、国内の
融和
を促すよう、過激なカトリックとピューリタンの両極を排除しました。

 しかし、カトリック勢力が、『ガイ・フォークス事件』で国王や重臣を爆死さ
せる陰謀を企てたこともあり、カトリックとの縁を切り、議会を頂点としたプロ
テスタント的な政治意識
に傾いていったのです。

 ★ 名誉革命とジャコバイト

 ジェームズ1世の後、次男チャールズ1世が王位に就きますが、フランス
からカトリックの王妃を迎えた他、スコットランドのピューリタンを弾圧したため
反乱が起こり、国王派は敗北、チャールズ1世は斬首されます。

 この革命により、クロムウェルを中心とした共和制が始まりますが、彼の死
後、オランダに亡命していたチャールズ1世の息子、チャールズ2世が帰国
して戴冠し、王政復古を宣言します。

 彼はクロムウェルの遺体を斬り、妻子を処刑した他、対オランダでフランスと
も密約を結んだ関係で、カトリックへの改宗も約束したりします。続くジェー
ムズ2世
はそれ以上のカトリック信者で、議会とは大きく対立します。

 そこで議会は策略の末、新教国家オランダから、ジェームズ2世の女婿オラ
ニエ公ウィレム3世
を新王に迎え入れます。これが『名誉革命』で、結果ジェ
ームズ2世はフランスに亡命し、イギリスは真の新教国となります。

 しかし、ジェームズ2世の息子、ジェームズ3世は亡命先のフランスでカトリ
ック信仰を守り、故国のカトリック派と連絡を取って王権奪回工作や反乱を繰り
返します。

 このカトリック・グループが『ジャコバイト』と呼ばれ、ジェームズ3世を老僭王
に戴き、イギリス王権転覆の『陰謀』を仕掛ける一派となり、フランス内に設
立されたフリーメーソンにも介入の手をのばしてゆくことになります。

 それでは、フランスでのフリーメーソンの動きを次回第118夜から見て
ゆきます。


( 追伸 )
 
 それにしても、列車ごと埋めてしまうとは、中国人の対応には驚きを通り
越して感心してしまいます。原発事故があっても恐らく…

 中曽根君、福島原発もさっさと埋めてしまえばよ
かったと思っているんじゃないかね?

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