2010.02.16
トンデモ話は奥で繋がる(12) 22.2.16
トンデモ話は奥で繋がる 「第十二夜」
-弟子のクッテネルがお送りします。
≪ある新興宗教信者との物語 ②≫
★ 第一回接近遭遇-勧誘体験開始!
さて、H君に連れられて入っていったのは、開店間もない某百貨店
の隣のビルの2階。入口にカウンターがあり、奥には円形のテーブルが
10脚ほど置かれていて、一見喫茶店にしか見えません。違いはと言え
ば、片隅にパーテーションで区切られたビデオ・ルームが幾つかあり、
現代の『ネットカフェ』を先取りしたような感じになっていました。
『これは、落ち着いて話すにはもってこいの空間だ』と妙に関心したも
のです。
やがて、(場所にぴったりの?)コーヒーが運ばれてきて(もちろん
タダで!)、H君と、大学生活のあれこれについて雑談をしていました。
しばらくすると、もうひとりの女性が現れました。年齢は小生と同じ
位で、どうやらこの支部の"サブ・リーダー"の一人のようでした。
アンケート結果による「性格診断」をもとに雑談をした後、「10回の
ビデオ講座と、週一回の講義」を受けるようにと勧めてきました。講座
の中で、現在の人類が何故「不条理な世界」に苦しんでいるのかを、
『聖書』に基づいて学ぶのだとのことです。その受講料が10万円!。決
して金儲けのためではなく、現世の正しい知識を持って欲しいからだと
いいます。
「それならば何故、もっと安価な本として出版して、より多くの人に
知らせようとしないのか」
と、小生は率直な質問をしたのですが、満足な答えが得られないまま、
1日目の長い(PM2:00~7:00)接近遭遇は終わりました。
★ 第二回接近遭遇-タダでここまで?
それから2週間後、H君から電話があり、「もう少し具体的な話を」
ということで、同じ場所へ2回目の訪問をすることとなりました。
今度は、前回説明のあったビデオ講座の「第1回」分をタダで見せて
くれました。
その内容は、聖書の「復活の日」の予言に関するもので、大筋は
人類の「悪」へ向かう「堕落の心」が、現世の「貧困と戦争」を生
み出しており、キリストの復活の日が来るかどうかは我々の「改心」
にかかっている
というものでした。幸いにして『聖書』について、多少の知識を仕入れて
いた小生にとっては、それ程目新しいものではありませんでした。
(今にして思えば、無意識にこの時のための『予習』をしていたのです!)
感想を求められた小生は、こう答えました。
「確かに言いたい事はわかるが、これならいくつかある聖書の、ひとつの
解説と変わらないのではないか。あなた方が独自に目指していることは何
なのですか」
しかし、前回の"サブ・リーダー"は
「それは"講義"で明らかにしてゆく」
と言うので、
「それじゃあ、内容の分からないものに"前金"を払わせるのですか」
と反論しました。結局、この後の話は平行線のまま。
すると、ついに業を煮やしたのか、"サブ・リーダー"が
「これは、本来は入会前にはお見せしないのですが…。」
と前置きして、一冊の本を貸してくれました。これが「統逸教会と蚊鮮明」
を讃える書物だったのですが、当時の小生には全くの「初物」だったため、
何の先入観もないまま、とにかく読んでみました。
★ 第三回接近遭遇-ここまで言うと怒られます?
さて、本の内容はと言うと、
『この世界に"不条理"を招いた者は、『無神論者』ーとりわけ共産主義者
たちの誤った思想によるものだ』
という、徹底的な"反共思想"と、信者を騙していると言う批判に対して、
『一部の"理解の無い"人々が"息子や娘を教団に取られた"と言っているが、
当人達は心から満足している』
という、教団の正当化に終始していた。
1週間後、本を返しに行った小生は、こう感想を述べました。
「確かに朝鮮半島の人々にとっては、反共闘争と南北統一は悲願かもしれ
ないが、日本人である我々が、同じように実感することは困難ではないか。
それに、共産圏の人々全てが、根っからの"無神論者"とは限らないし、
資本主義社会にだって"不条理"なことがあるのではないか」
結局、この日も議論は平行線のままで、最後には"サブ・リーダー"は怒った
ように席を立った。
★ 第四回接近遭遇-今度は「健康セミナー」
それから1週間後、H君から「僕の母親が参加している"健康セミナー"に
出席しませんかとの話があったので行ってみた。
講師は岐阜薬科大学出身の栄養士で、今の"薬漬け医療"を批判し、"朝鮮人参"
による「体質改善」を説くものでした。H君自身も、初めて会った時から、その
朝鮮人参茶入りの水筒を常に携帯して、その他の飲料の代わりとしていました。
講演の最後に、
「本当は、広く多くの方にお分けしたいのですが、朝鮮人参の育成には十数
年かかるので手に入りにくい。ここに集まった方は幸運です。」
と言うと、その後は購買会となりました。"人参茶"用の粉末が100gでなんと8
万円!。
一方で"薬漬け医療"で重症となった患者さんを哀れみながら、一部の
"購買力"のある人を狙って、こんな特定した方法で売るなんて、どう考えても
催眠商法的です。会場の係員は、この後も時間まで残るよう、しきりに引きと
めますが、振り切るようにさっさと退散しました。
その後、"見込みなし"と思われたのか、H君からの音信はプッツリと途切れま
した。ホッとしたと言うより、小生自身は、H君とはその後も話がしたいと思っ
ていましたので、大変残念でした。
次回第十三夜は、かつてH君が語ってくれた"夢"から、新興宗教のツケ入る構
造についての小生の見方をお話します。
目次のペーシへはこちらから
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-弟子のクッテネルがお送りします。
≪ある新興宗教信者との物語 ②≫
★ 第一回接近遭遇-勧誘体験開始!
さて、H君に連れられて入っていったのは、開店間もない某百貨店
の隣のビルの2階。入口にカウンターがあり、奥には円形のテーブルが
10脚ほど置かれていて、一見喫茶店にしか見えません。違いはと言え
ば、片隅にパーテーションで区切られたビデオ・ルームが幾つかあり、
現代の『ネットカフェ』を先取りしたような感じになっていました。
『これは、落ち着いて話すにはもってこいの空間だ』と妙に関心したも
のです。
やがて、(場所にぴったりの?)コーヒーが運ばれてきて(もちろん
タダで!)、H君と、大学生活のあれこれについて雑談をしていました。
しばらくすると、もうひとりの女性が現れました。年齢は小生と同じ
位で、どうやらこの支部の"サブ・リーダー"の一人のようでした。
アンケート結果による「性格診断」をもとに雑談をした後、「10回の
ビデオ講座と、週一回の講義」を受けるようにと勧めてきました。講座
の中で、現在の人類が何故「不条理な世界」に苦しんでいるのかを、
『聖書』に基づいて学ぶのだとのことです。その受講料が10万円!。決
して金儲けのためではなく、現世の正しい知識を持って欲しいからだと
いいます。
「それならば何故、もっと安価な本として出版して、より多くの人に
知らせようとしないのか」
と、小生は率直な質問をしたのですが、満足な答えが得られないまま、
1日目の長い(PM2:00~7:00)接近遭遇は終わりました。
★ 第二回接近遭遇-タダでここまで?
それから2週間後、H君から電話があり、「もう少し具体的な話を」
ということで、同じ場所へ2回目の訪問をすることとなりました。
今度は、前回説明のあったビデオ講座の「第1回」分をタダで見せて
くれました。
その内容は、聖書の「復活の日」の予言に関するもので、大筋は
人類の「悪」へ向かう「堕落の心」が、現世の「貧困と戦争」を生
み出しており、キリストの復活の日が来るかどうかは我々の「改心」
にかかっている
というものでした。幸いにして『聖書』について、多少の知識を仕入れて
いた小生にとっては、それ程目新しいものではありませんでした。
(今にして思えば、無意識にこの時のための『予習』をしていたのです!)
感想を求められた小生は、こう答えました。
「確かに言いたい事はわかるが、これならいくつかある聖書の、ひとつの
解説と変わらないのではないか。あなた方が独自に目指していることは何
なのですか」
しかし、前回の"サブ・リーダー"は
「それは"講義"で明らかにしてゆく」
と言うので、
「それじゃあ、内容の分からないものに"前金"を払わせるのですか」
と反論しました。結局、この後の話は平行線のまま。
すると、ついに業を煮やしたのか、"サブ・リーダー"が
「これは、本来は入会前にはお見せしないのですが…。」
と前置きして、一冊の本を貸してくれました。これが「統逸教会と蚊鮮明」
を讃える書物だったのですが、当時の小生には全くの「初物」だったため、
何の先入観もないまま、とにかく読んでみました。
★ 第三回接近遭遇-ここまで言うと怒られます?
さて、本の内容はと言うと、
『この世界に"不条理"を招いた者は、『無神論者』ーとりわけ共産主義者
たちの誤った思想によるものだ』
という、徹底的な"反共思想"と、信者を騙していると言う批判に対して、
『一部の"理解の無い"人々が"息子や娘を教団に取られた"と言っているが、
当人達は心から満足している』
という、教団の正当化に終始していた。
1週間後、本を返しに行った小生は、こう感想を述べました。
「確かに朝鮮半島の人々にとっては、反共闘争と南北統一は悲願かもしれ
ないが、日本人である我々が、同じように実感することは困難ではないか。
それに、共産圏の人々全てが、根っからの"無神論者"とは限らないし、
資本主義社会にだって"不条理"なことがあるのではないか」
結局、この日も議論は平行線のままで、最後には"サブ・リーダー"は怒った
ように席を立った。
★ 第四回接近遭遇-今度は「健康セミナー」
それから1週間後、H君から「僕の母親が参加している"健康セミナー"に
出席しませんかとの話があったので行ってみた。
講師は岐阜薬科大学出身の栄養士で、今の"薬漬け医療"を批判し、"朝鮮人参"
による「体質改善」を説くものでした。H君自身も、初めて会った時から、その
朝鮮人参茶入りの水筒を常に携帯して、その他の飲料の代わりとしていました。
講演の最後に、
「本当は、広く多くの方にお分けしたいのですが、朝鮮人参の育成には十数
年かかるので手に入りにくい。ここに集まった方は幸運です。」
と言うと、その後は購買会となりました。"人参茶"用の粉末が100gでなんと8
万円!。
一方で"薬漬け医療"で重症となった患者さんを哀れみながら、一部の
"購買力"のある人を狙って、こんな特定した方法で売るなんて、どう考えても
催眠商法的です。会場の係員は、この後も時間まで残るよう、しきりに引きと
めますが、振り切るようにさっさと退散しました。
その後、"見込みなし"と思われたのか、H君からの音信はプッツリと途切れま
した。ホッとしたと言うより、小生自身は、H君とはその後も話がしたいと思っ
ていましたので、大変残念でした。
次回第十三夜は、かつてH君が語ってくれた"夢"から、新興宗教のツケ入る構
造についての小生の見方をお話します。
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