2010.01.17
トンデモ話は奥で繋がる(2) 22.1.17
トンデモ話は奥で繋がる 「第二夜 」
-弟子のクッテネルがお送りします。
≪原始ユダヤ教の『神』の特徴≫
★ 始まりは「解散?」
小生が社会人となった2年目に職場の同僚とBANDを始めたのですが、スタ
ジオを借りて練習するにも、先立つものが要りますのでそうそう時間は取
れません。そこで隙間の時間をうめるべく、メンバー間での「同人誌」を
始めました。後輩の1人が、メンバーの中で唯一パソコンを持っていたため、
彼が編集長をしていたのですが、そのうちインターネットが世に広まること
となり、彼の関心が、ネット仲間での意見交換に移ってしまったことから、
「同人誌」は休止常態になってしまい、そのうち、ちっとも上達しないBAND
の方も解散同然となってしまいました。
もとより小生は他にすることもなく、それならば小生ひとりで「独人誌?」
を始めてやろうということで、「GAIA(ガイア)」と題した冊子を作って配布
することとしました。毎月1回の約30頁。内容は、メインの「時事論評」
「連載小説」「野鳥の紹介」「今月見た映画」「気に入っているシンガーソ
ングライターの歌詞の紹介」「編集後記」の6本立てで、せっせと手書きし
た原稿を、スーパーのコピー機を毎回30分以上独占して印刷して約30部作成。
一人暮らしの中、家事以外のほとんどの自由時間をつぎ込み、今にして思え
ばよく2年間も続いたものだと思います。
その中で、小生が「時事論評」のテーマとして選んだ3つの柱が
① 1991年1月17日、イラクのクウェート進行に端を発した、中東をと
りまく宗教対立の問題
② 「臓器移植」推進運動の中で湧き上がってきた「脳死は人の死か」
についての問題
③ チェルノブイリ原発事故にもかかわらず、1991年から試運転が行わ
れていた「もんじゅ」の必要性について
という、トンデモ話とはほど遠い、きわめてマジメなものでした。
そして、その当時は、これらが密接な関連を持つことになろうとは思って
もみなかったのでした。
★ 「原始ユダヤ教」は排他的ではなかった
まずは①の問題です。この当時は、小生も「ユダヤ教は「旧約聖書を
経典とし、キリスト教は『新約聖書』を経典とし、イスラム教は『クルア
ーン(コーラン)』を経典として、それぞれ崇める『神』が違うことで紛争
が起こる」といった程度の認識しかありませんでした。
じゃあ、「どんな『神』で、どこが他の宗教と相容れないのか」を調べ
てみると以外にもその源は同じなのです。以下、「違いなど考えてもみな
かった」方のために、当時の記事からかいつまんで説明します。
話は紀元前2000年に遡ります。当時の世界は、万物崇拝・偶像崇拝の世界
で、人々は自然現象そのものを「神の業」に結びつけた多数の神を信仰して
いました。ある日、四大文明の発祥の地のひとつであるメソポタミア地方の
住人である「アブラハム」に、その『神』がこう語りかけます。
お前の国(=ウル。ユーフラテス川下流の町)を出て、家族と別れ、父の
家を離れて、わたしの示す土地(=カナンのシケム。約束の地)に行きなさ
い。わたしはお前を大いなる国民とし、お前を祝福し、お前の名を高めて
あげよう。お前はその祝福の"基"となるであろう。わたしはお前を祝福す
る者を祝福し、お前を呪う者を呪う。他の全ての輩はお前によって祝福さ
れるであろう。』《創世記》
これが最初の『神』の言葉です。何故アブラハムが選ばれたのかはよくわ
からないのですが、突然こんなふうに言われても、選ばれた方もたまったも
のじゃない。ひょっとすると、別にも何人か勧誘したのかも知れませんし、
イヤとは言わせない威圧感があったのかも知れません。ともかく、アブラハ
ムは従ったわけです。以後彼は、この『神』の教えを守って生活し、その教
えを『律法』としてまとめ、彼と彼の一族はそれに従うという「一神教」と
しての契約が生まれます。
『この世界を作った唯一の神、それは決して"見る"ことの出来ない崇高な
存在である。その神の前では全ての人間は平等であり、全て神の意思であ
る「律法」に従わなくてはならない』
これが『原始ユダヤ教』の主旨であり、そこには『選民思想』はなかった
とされます。実際に「アブラハムの宗教」という考え方に立てば、キリスト
教もイスラム教もここに原点をもっており、「根っこ」は同じなのです。
特に「イスラム教」のムハンマドは、アブラハムと同じような形で天使ガブ
リエルに神の預言者になることを求められ『クルアーン』をまとめています。
★ 選民思想の原点
では、今日『ユダヤ教』の代名詞のように言われている選民思想はどこから
生まれたのでしょうか。
紀元前1700年頃、カナンの地を飢饉が襲い、彼の一族はエジプトに移ります。
豊かなエジプトの地では文明が栄え、恵みに感謝する「偶像崇拝」が行われて
おり、彼らもその誘惑に駆られ、妥協的な俗習を受け入れ始めます。
紀元前1290年頃、預言者であった『モーセ』は一族の危機を訴え、彼らを率
いてエジプトを去り、荒野に漂泊し、さまざまな奇跡とともに、神の言葉に背
いた者に対する復讐をみせつけられます。
『お前は、わたしの他に"何物"をも神としてはならない』《十戒》
以後、ユダヤ教においては、その"神"の他にいかなる神格化されたもの(偶像
や化身)を認めず、神の言葉である『律法』のみを拠り所とし、その遵守と引き
換えに、彼らこそが神に選ばれた民族であるとの思想を持つこととなります。
★ 『原始ユダヤ教』への回帰を訴えた預言者たち
モーセの死後、紀元前1020年頃から「王制」が現れます。3代目ソロモン王の
時代はその栄華を極め、「エルサレム宮殿」が建立され、祭儀が整えられます。
しかし、特権階級については、"神の下の平等"を説くユダヤ教に反するものとし
て、サムエル、エリア、エリシア、イザヤ、エレミア、エセキエル、ダニエル等
の多くの預言者が、その後四世紀の間、「政治より道徳の優位」を説いて、もう
一度「アブラハム」の教えに戻ることをユダヤの民に教示していきます。
『神は正しい人間を愛す。神の憐みは神殿の儀式の遵守ではなく、神の意思へ
の服従によって得られる』
その間、王国は内乱により、紀元前922年「北王国イスラエル」「南王国ユダ」
に分裂します。紀元前721年には北王国はアッシリアに滅ぼされ、紀元前587年に
は南王国も滅亡、エルサレム宮殿は崩され、民はバビロニアに捕囚となり、再び
流民の生活を強いられることとなります。
★ 第一夜の「心掛け①」をお忘れなく
さて、ここまでお付き合いいただいた方の中には、「これってトンデモ話とは
関係ないんじゃない? 聖書の話ならみんな知ってるよ」と思われる方もおられる
かと思いますが、ここで第一夜の「心掛け①」を思い出してください。この話
を「聖書の中の寓話」として考えるのではなく、「全て史実である」とすれば、
やはりトンデモ話に入ってくるものと思います。
と言う小生も、この頃は宗教上の相違点を示すものとしてしか見ていませんで
した。しかし、事実だと思って考えてみると、ユダヤの『神』の登場の仕方は、
現代の「啓蒙的宇宙人」の行動とよく似ています。「ラエリアン・ムーブメント」
の主張するラエルの例などは、その現代版のような話です。
★ ユダヤ教の『神』の特徴
さて、こうして示されたユダヤ教の『神』の特徴をみてみますと、
① 自分(?)以外を神格化することを極端に嫌う、嫉妬心の強い存在である。
これは、特定の人間が神格化されないためと見られますが、考えようによっ
ては、彼(?)以外にも神格化され得る別のライバルがいるのかも知れません。
② 3次元の人間からみると、超自然的な力を持っていること。彼はその力を
見せ付けることで、自らを神格化しています。しかし、別の次元の存在なら
案外たやすいことなのかも知れません。
③ 自分の姿を見せたがらないこと。この点については、少々考える必要があ
ります。そのことで威厳を持たせているともとれますが、例えば「3次元的
には見えない存在」なのかも知れませんし、「見せないほうがいい姿」なの
かも知れません。
さて次回の第三夜は、「キリスト教」への流れから入っていこうと思います。
今後もこうした視点を持って、お付き合いいただければ幸いです。
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-弟子のクッテネルがお送りします。
≪原始ユダヤ教の『神』の特徴≫
★ 始まりは「解散?」
小生が社会人となった2年目に職場の同僚とBANDを始めたのですが、スタ
ジオを借りて練習するにも、先立つものが要りますのでそうそう時間は取
れません。そこで隙間の時間をうめるべく、メンバー間での「同人誌」を
始めました。後輩の1人が、メンバーの中で唯一パソコンを持っていたため、
彼が編集長をしていたのですが、そのうちインターネットが世に広まること
となり、彼の関心が、ネット仲間での意見交換に移ってしまったことから、
「同人誌」は休止常態になってしまい、そのうち、ちっとも上達しないBAND
の方も解散同然となってしまいました。
もとより小生は他にすることもなく、それならば小生ひとりで「独人誌?」
を始めてやろうということで、「GAIA(ガイア)」と題した冊子を作って配布
することとしました。毎月1回の約30頁。内容は、メインの「時事論評」
「連載小説」「野鳥の紹介」「今月見た映画」「気に入っているシンガーソ
ングライターの歌詞の紹介」「編集後記」の6本立てで、せっせと手書きし
た原稿を、スーパーのコピー機を毎回30分以上独占して印刷して約30部作成。
一人暮らしの中、家事以外のほとんどの自由時間をつぎ込み、今にして思え
ばよく2年間も続いたものだと思います。
その中で、小生が「時事論評」のテーマとして選んだ3つの柱が
① 1991年1月17日、イラクのクウェート進行に端を発した、中東をと
りまく宗教対立の問題
② 「臓器移植」推進運動の中で湧き上がってきた「脳死は人の死か」
についての問題
③ チェルノブイリ原発事故にもかかわらず、1991年から試運転が行わ
れていた「もんじゅ」の必要性について
という、トンデモ話とはほど遠い、きわめてマジメなものでした。
そして、その当時は、これらが密接な関連を持つことになろうとは思って
もみなかったのでした。
★ 「原始ユダヤ教」は排他的ではなかった
まずは①の問題です。この当時は、小生も「ユダヤ教は「旧約聖書を
経典とし、キリスト教は『新約聖書』を経典とし、イスラム教は『クルア
ーン(コーラン)』を経典として、それぞれ崇める『神』が違うことで紛争
が起こる」といった程度の認識しかありませんでした。
じゃあ、「どんな『神』で、どこが他の宗教と相容れないのか」を調べ
てみると以外にもその源は同じなのです。以下、「違いなど考えてもみな
かった」方のために、当時の記事からかいつまんで説明します。
話は紀元前2000年に遡ります。当時の世界は、万物崇拝・偶像崇拝の世界
で、人々は自然現象そのものを「神の業」に結びつけた多数の神を信仰して
いました。ある日、四大文明の発祥の地のひとつであるメソポタミア地方の
住人である「アブラハム」に、その『神』がこう語りかけます。
お前の国(=ウル。ユーフラテス川下流の町)を出て、家族と別れ、父の
家を離れて、わたしの示す土地(=カナンのシケム。約束の地)に行きなさ
い。わたしはお前を大いなる国民とし、お前を祝福し、お前の名を高めて
あげよう。お前はその祝福の"基"となるであろう。わたしはお前を祝福す
る者を祝福し、お前を呪う者を呪う。他の全ての輩はお前によって祝福さ
れるであろう。』《創世記》
これが最初の『神』の言葉です。何故アブラハムが選ばれたのかはよくわ
からないのですが、突然こんなふうに言われても、選ばれた方もたまったも
のじゃない。ひょっとすると、別にも何人か勧誘したのかも知れませんし、
イヤとは言わせない威圧感があったのかも知れません。ともかく、アブラハ
ムは従ったわけです。以後彼は、この『神』の教えを守って生活し、その教
えを『律法』としてまとめ、彼と彼の一族はそれに従うという「一神教」と
しての契約が生まれます。
『この世界を作った唯一の神、それは決して"見る"ことの出来ない崇高な
存在である。その神の前では全ての人間は平等であり、全て神の意思であ
る「律法」に従わなくてはならない』
これが『原始ユダヤ教』の主旨であり、そこには『選民思想』はなかった
とされます。実際に「アブラハムの宗教」という考え方に立てば、キリスト
教もイスラム教もここに原点をもっており、「根っこ」は同じなのです。
特に「イスラム教」のムハンマドは、アブラハムと同じような形で天使ガブ
リエルに神の預言者になることを求められ『クルアーン』をまとめています。
★ 選民思想の原点
では、今日『ユダヤ教』の代名詞のように言われている選民思想はどこから
生まれたのでしょうか。
紀元前1700年頃、カナンの地を飢饉が襲い、彼の一族はエジプトに移ります。
豊かなエジプトの地では文明が栄え、恵みに感謝する「偶像崇拝」が行われて
おり、彼らもその誘惑に駆られ、妥協的な俗習を受け入れ始めます。
紀元前1290年頃、預言者であった『モーセ』は一族の危機を訴え、彼らを率
いてエジプトを去り、荒野に漂泊し、さまざまな奇跡とともに、神の言葉に背
いた者に対する復讐をみせつけられます。
『お前は、わたしの他に"何物"をも神としてはならない』《十戒》
以後、ユダヤ教においては、その"神"の他にいかなる神格化されたもの(偶像
や化身)を認めず、神の言葉である『律法』のみを拠り所とし、その遵守と引き
換えに、彼らこそが神に選ばれた民族であるとの思想を持つこととなります。
★ 『原始ユダヤ教』への回帰を訴えた預言者たち
モーセの死後、紀元前1020年頃から「王制」が現れます。3代目ソロモン王の
時代はその栄華を極め、「エルサレム宮殿」が建立され、祭儀が整えられます。
しかし、特権階級については、"神の下の平等"を説くユダヤ教に反するものとし
て、サムエル、エリア、エリシア、イザヤ、エレミア、エセキエル、ダニエル等
の多くの預言者が、その後四世紀の間、「政治より道徳の優位」を説いて、もう
一度「アブラハム」の教えに戻ることをユダヤの民に教示していきます。
『神は正しい人間を愛す。神の憐みは神殿の儀式の遵守ではなく、神の意思へ
の服従によって得られる』
その間、王国は内乱により、紀元前922年「北王国イスラエル」「南王国ユダ」
に分裂します。紀元前721年には北王国はアッシリアに滅ぼされ、紀元前587年に
は南王国も滅亡、エルサレム宮殿は崩され、民はバビロニアに捕囚となり、再び
流民の生活を強いられることとなります。
★ 第一夜の「心掛け①」をお忘れなく
さて、ここまでお付き合いいただいた方の中には、「これってトンデモ話とは
関係ないんじゃない? 聖書の話ならみんな知ってるよ」と思われる方もおられる
かと思いますが、ここで第一夜の「心掛け①」を思い出してください。この話
を「聖書の中の寓話」として考えるのではなく、「全て史実である」とすれば、
やはりトンデモ話に入ってくるものと思います。
と言う小生も、この頃は宗教上の相違点を示すものとしてしか見ていませんで
した。しかし、事実だと思って考えてみると、ユダヤの『神』の登場の仕方は、
現代の「啓蒙的宇宙人」の行動とよく似ています。「ラエリアン・ムーブメント」
の主張するラエルの例などは、その現代版のような話です。
★ ユダヤ教の『神』の特徴
さて、こうして示されたユダヤ教の『神』の特徴をみてみますと、
① 自分(?)以外を神格化することを極端に嫌う、嫉妬心の強い存在である。
これは、特定の人間が神格化されないためと見られますが、考えようによっ
ては、彼(?)以外にも神格化され得る別のライバルがいるのかも知れません。
② 3次元の人間からみると、超自然的な力を持っていること。彼はその力を
見せ付けることで、自らを神格化しています。しかし、別の次元の存在なら
案外たやすいことなのかも知れません。
③ 自分の姿を見せたがらないこと。この点については、少々考える必要があ
ります。そのことで威厳を持たせているともとれますが、例えば「3次元的
には見えない存在」なのかも知れませんし、「見せないほうがいい姿」なの
かも知れません。
さて次回の第三夜は、「キリスト教」への流れから入っていこうと思います。
今後もこうした視点を持って、お付き合いいただければ幸いです。
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