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雨が降るー重衡追想

お能を見に行ったその晩、目が冴えてなかなか寝つかれません。目を閉じると周りが緑で5月か6月の新緑に囲まれています。すこし薄暗い中、しとしととした雨の向こうに緑が霞んでいます。

「恥ではない。恥ではないのだ。」こんな声が自分の中から出ています。私はこの眠れない間、昔の武士の潔さに思いを馳せていたのです。この頃あまりにも秋篠宮家の人々の醜さ、えげつなさをUチューブなどで見すぎたせいか、そのおぞましさにヘキヘキとしていたので、その反対の昔の武士の執着のなさ、清廉さに惹かれていたのかも知れません。

お能の「千手」。それは何も舞台道具もなく、言葉もよくわからなかったです。でも、五月雨が降る中、本当に若い二十歳くらいの女の子と貴公子がいるのが実感としてわかるのです。
恥ではない❓昔は自害もできず捕まるのは武士としては最大級の恥なのでは❓この人は官位も高く武士なのだから、捕まって鎌倉くんだりまで連れて行かれたなんて、さぞかし恥を感じ、いたたまれなかったのでは❓
私は緑の中、降り頻る雨を感じながらそんなことを思いました。こんな状態だと想像するのが辛いくらいだ。武士にとって生捕されるとは最大級の恥辱なのだ。たまらんなぁ。

しかし、私の中で恥ではない。また重衡が恥ではないと言っているような気がしたのです。
あっ。笛、琵琶。私は自分がやっていた管弦を思い出しました。この人も龍笛をやっていたのかも...私はふと思いました。
「状況が如何ともしなかったのだ。運命のような流れのようなものだ。」重衡が言っているような気がします。多分、自害もできない状況になったのだろう。捕まって処刑されるのは恥だが、それを悄々と受け入れ、死んでいった重衡...

その時です。私は自分が恥だと思っているある出来事を思い出したのです。
でも、どこかで聞こえます。「恥ではない」自分なのか重衡なのか、誰が言っているのかもう分かりません。その出来事自体は恥と言っていいです。それは、自分ではなんともできない状況、時であったのだ。その中で、あがき、なんとか、それ以上の愚行の中から這い出るだけでした...人に言えるようなことではないです。でも、あの状況、あの時、それをどうすれば全く無縁でいられたか。私の立場上それは無理でした。図らずも恥となるようなことに足を取られたけど、あれはどうともならなかったし、自分が起こそうとして起こしたことではない。仕方なかったのだ...それが恥であるとは思わなくてもいいのでは❓

私の恥辱的なある出来事は、何かあるたびにふっふっと頭をよぎり抜け切りません。
が、新緑の五月雨の中、「恥ではない」という声に、息が止まるような感覚を受けたのです。

源平の時代と昭和、平成の私の時代はまるで違います。そして重衡が生きて捕まったことと、私があることに半分絡め取られたことはまるで違います。でもどちらも、恥ずべきことだし、当事者なら己の不甲斐なさについて、忘れたくても忘れられないようなことだと思います。

時代背景も何もかも違うが、なぜか同じような気持ちを感じる...
もしかしてこの重衡さんって、捕まったのは自分の失態でなく、何か家臣がらみのことがあったのでは❓
そう思い、ウィキで調べたら、重衡が捕まったのは一ノ谷の合戦の時、信頼していた家臣であり、乳母の子である後藤盛長に裏切られたことによるとか。

やっぱりか‼️

私は過去生で武士であり、家来の裏切りで敵に捕まり、死んだということを言われたことがあります。このことで重衡が自分だとかなんだとかは全く別の話です。が、共感というか、このお能を見てから、薄暗い春の雨の中、雨にけぶる新緑を開け放たれた、どこかの居館の一室から外を見ながら、思っている。そんな情景が頭の中にずっとあり、それとともに「恥ではない」という思いが消えないのです。

もう、重衡の不幸も自分の恥と思い拭いされなかった過去も、一つの誰かの物語として完結し、何もなくなりつつあるような気がします。お能の「千手」はあのお香の匂いとともに自分の中にあり、自分の不甲斐ない物語まで、焚き上げ、昇華してくれているような。不思議で、優雅ですけど悲しい話でした。

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握力は小学生よりない力なし。ひっそりとこのシャバの片隅でモーニングを食べている凡人です。猫、鳥、虫等、とやり合いながら暮らしています。

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またの名はクマネルです。ふしぎなことが好きです。着物も好きです。

たまに、魚を捌きます。猫におしっこをかけられたこともありますし、珍しい体験もあります。

たまに-クッテネル-が記事を書きます。そちらもよろしく。

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