2010.06.18
トンデモ話は奥で繋がる(34) 22.6.18
トンデモ話は奥で繋がる 「第三十四夜」
-弟子のクッテネルがお送りします。
≪ロスチャイルドに風穴を開けた男≫
★ 第二次大戦の火付け役=ヴェルサイユ条約
第一次大戦の後始末は、1919年パリのヴェルサイユ宮殿で始めら
れました。中心となったのは、議長であるフランス首相クレマンソー、
イギリス首相ロイド=ジョージ、アメリカのウィルソン大統領の三巨
頭でした。
クレマンソーは、南アフリカのボーア戦争の重要人物アルフレッド・
ミルナーと親しく交わり、フランスのロスチャイルド家の力で首相の座
を射止めた男で、その息子ミシェルは南米におけるザハロフの代理人
を務めていました。
ロイド=ジョージもサロモン・ロスチャイルド家とのつながりをもつ
財閥の代表者であり、ウィルソンは1914年にJ・P・モルガンの特権
者マッカドゥーの花嫁となったエレノアの父親でした。
こうして、ロスチャイルドの利権代表者の手によるヴェルサイユ条約
で、ドイツは全ての植民地の利権を放棄については当然のこととして、
ドイツ自身の領土の一部を取り上げられ、支払いの目処もたたぬ賠償金
200億マルクを2年以内に完済することを課せられます。
この会議に先立つこと2週間前には、ミュンヘンにドイツ労働者党と
いう奇妙な政党が結成され、その7番目の党員としてアドルフ・ヒット
ラーが登録されます。
また、戦勝国として会議に参加しながら、日本とともに無視されたイ
タリアではその2ヶ月後、ベニト・ムッソリーニがファシスト党を結成
します。全体主義の芽は、いずれもロスチャイルド家の家名が絶えた2
つの大国に出現したのです。
ドイツでは、賠償金支払いのための大増税案が発表され、著しいイン
フレのもとマルクが崩壊します。「カネより物」の経済状況で、商人や大
資本家に富が集中する中、利益者の代表としてのユダヤ人が憎悪の
対象となり、こうした大衆の心を利用する形で、全体主義は反ユダヤ主
義へと結びついてゆきます。
★ イギリス・ファシスト連合の誕生
当初は、反ユダヤ主義がドイツ全体に浸透する中にあっても、ロスチャ
イルド財閥の当主達は、「貧しいユダヤ人の難民問題」程度にしか考
えていなかったようです。
しかし1896年、彼等を真に追い詰める男が生まれます。ロンドンの準
男爵の子息オズワルド・モズレーは、やがて政界へと進出しますが、
軍需産業ヴィッカースや、外国侵略に大金を投じ、貧しい国民に目を向
けない政府に幻滅します。この意味では彼の感覚は正常でした。
彼は、ムッソリーニの活動に感銘を受け、イギリス・ファシスト連合を
結成します。本来「ファシズム」とは、ローマ時代の司法官の権威の象徴
である"ファッショ(木の束)"を示す言葉で、「横暴な支配者や資本家を倒
す正義」を意味するものでした。
失業者のあふれる世界的な恐慌の時代でもあり、当初は大衆の支持
を得て、ロスチャイルドを始めとする上流階級を追い詰める勢力へと成
長してゆきました。
しかし、ファシズムの意義を取り違えたイタリア・ドイツの暴力が伝わっ
て来るにつれ、人々はモズレーの活動に疑問を持ち始め、多くの党員に
離反の動きが出てきました。
ここで彼は、批判の矛先を上流社会一般からユダヤ財閥一点に絞り込
む戦略に切り替えます。もともと彼自身も上流社会の一員であり、その中に
もユダヤ財閥の権威を疎ましく思う者がいたため、上流社会を二分する
ような抗争へと変化します。
しかし、それでも政治的な権力を握るところまではたどり着けず、彼は最後
の手段へと走ります。1936年本家ドイツと手を組み、イギリス・ファシスト
・ナチス連合となったのです。
★ 財閥の弱点を突く男モズレー
彼の前妻であるシンシアは、イギリス外相カー
ソン卿の娘であり、ロスチャイルド家と結びついた
イギリスの3大利権(南アフリカの貴金属、インド
=香港のアヘン交易、アメリカの小麦)のひとつ、
でした。 インドを牛耳る一族
《クリック、虫眼鏡+で拡大表示されます。》
(集英社文庫『赤い楯』第Ⅱ巻 P576-577より転載)
そのシンシアが1833年にこの世を去り、彼はヒットラー立会いの元で2
番目の妻ダイアナを迎えます。彼女の姉妹はソールズベリー首相の曾孫
と姻戚関係にありました。そして、ソールズベリー首相こそ、南アフリカの鉱
山を牛耳っていたのです。
つまりモズレーは、ロスチャイルド家が各地で稼ぎ出した財産を一手に
握る姻戚関係を経由し、「ユダヤ人絶滅」を叫ぶファシズムの扇動資金と
して利用し、貧しい大衆の世論を味方につけたわけです。
さらに、妻ダイアナの叔父が、フランクフルトの赤い楯の直系を継いだロ
ドルフ・ゴールドシュミット・ロスチャイルドの前妻と結婚しています。つま
り、ロスチャイルド一族の内部から、彼等一族を消し去ろうという勢力が
生まれたとも言えます。
ロスチャイルド家が、非ユダヤ人の上流社会、貴族、王室との関係で
築き上げてきた巨大な"集金ダム"は、この男モズレーの出現により、その
壁に内部から穴を開けられることとなったのです。
さて、次回第三十五夜では、この一穴がロスチェイルド財閥に与えた
ダメージの大きさについてお話しする予定です。
目次のペーシへはこちらから
-弟子のクッテネルがお送りします。
≪ロスチャイルドに風穴を開けた男≫
★ 第二次大戦の火付け役=ヴェルサイユ条約
第一次大戦の後始末は、1919年パリのヴェルサイユ宮殿で始めら
れました。中心となったのは、議長であるフランス首相クレマンソー、
イギリス首相ロイド=ジョージ、アメリカのウィルソン大統領の三巨
頭でした。
クレマンソーは、南アフリカのボーア戦争の重要人物アルフレッド・
ミルナーと親しく交わり、フランスのロスチャイルド家の力で首相の座
を射止めた男で、その息子ミシェルは南米におけるザハロフの代理人
を務めていました。
ロイド=ジョージもサロモン・ロスチャイルド家とのつながりをもつ
財閥の代表者であり、ウィルソンは1914年にJ・P・モルガンの特権
者マッカドゥーの花嫁となったエレノアの父親でした。
こうして、ロスチャイルドの利権代表者の手によるヴェルサイユ条約
で、ドイツは全ての植民地の利権を放棄については当然のこととして、
ドイツ自身の領土の一部を取り上げられ、支払いの目処もたたぬ賠償金
200億マルクを2年以内に完済することを課せられます。
この会議に先立つこと2週間前には、ミュンヘンにドイツ労働者党と
いう奇妙な政党が結成され、その7番目の党員としてアドルフ・ヒット
ラーが登録されます。
また、戦勝国として会議に参加しながら、日本とともに無視されたイ
タリアではその2ヶ月後、ベニト・ムッソリーニがファシスト党を結成
します。全体主義の芽は、いずれもロスチャイルド家の家名が絶えた2
つの大国に出現したのです。
ドイツでは、賠償金支払いのための大増税案が発表され、著しいイン
フレのもとマルクが崩壊します。「カネより物」の経済状況で、商人や大
資本家に富が集中する中、利益者の代表としてのユダヤ人が憎悪の
対象となり、こうした大衆の心を利用する形で、全体主義は反ユダヤ主
義へと結びついてゆきます。
★ イギリス・ファシスト連合の誕生
当初は、反ユダヤ主義がドイツ全体に浸透する中にあっても、ロスチャ
イルド財閥の当主達は、「貧しいユダヤ人の難民問題」程度にしか考
えていなかったようです。
しかし1896年、彼等を真に追い詰める男が生まれます。ロンドンの準
男爵の子息オズワルド・モズレーは、やがて政界へと進出しますが、
軍需産業ヴィッカースや、外国侵略に大金を投じ、貧しい国民に目を向
けない政府に幻滅します。この意味では彼の感覚は正常でした。
彼は、ムッソリーニの活動に感銘を受け、イギリス・ファシスト連合を
結成します。本来「ファシズム」とは、ローマ時代の司法官の権威の象徴
である"ファッショ(木の束)"を示す言葉で、「横暴な支配者や資本家を倒
す正義」を意味するものでした。
失業者のあふれる世界的な恐慌の時代でもあり、当初は大衆の支持
を得て、ロスチャイルドを始めとする上流階級を追い詰める勢力へと成
長してゆきました。
しかし、ファシズムの意義を取り違えたイタリア・ドイツの暴力が伝わっ
て来るにつれ、人々はモズレーの活動に疑問を持ち始め、多くの党員に
離反の動きが出てきました。
ここで彼は、批判の矛先を上流社会一般からユダヤ財閥一点に絞り込
む戦略に切り替えます。もともと彼自身も上流社会の一員であり、その中に
もユダヤ財閥の権威を疎ましく思う者がいたため、上流社会を二分する
ような抗争へと変化します。
しかし、それでも政治的な権力を握るところまではたどり着けず、彼は最後
の手段へと走ります。1936年本家ドイツと手を組み、イギリス・ファシスト
・ナチス連合となったのです。
★ 財閥の弱点を突く男モズレー

彼の前妻であるシンシアは、イギリス外相カー
ソン卿の娘であり、ロスチャイルド家と結びついた
イギリスの3大利権(南アフリカの貴金属、インド
=香港のアヘン交易、アメリカの小麦)のひとつ、
でした。 インドを牛耳る一族
《クリック、虫眼鏡+で拡大表示されます。》
(集英社文庫『赤い楯』第Ⅱ巻 P576-577より転載)
そのシンシアが1833年にこの世を去り、彼はヒットラー立会いの元で2
番目の妻ダイアナを迎えます。彼女の姉妹はソールズベリー首相の曾孫
と姻戚関係にありました。そして、ソールズベリー首相こそ、南アフリカの鉱
山を牛耳っていたのです。
つまりモズレーは、ロスチャイルド家が各地で稼ぎ出した財産を一手に
握る姻戚関係を経由し、「ユダヤ人絶滅」を叫ぶファシズムの扇動資金と
して利用し、貧しい大衆の世論を味方につけたわけです。
さらに、妻ダイアナの叔父が、フランクフルトの赤い楯の直系を継いだロ
ドルフ・ゴールドシュミット・ロスチャイルドの前妻と結婚しています。つま
り、ロスチャイルド一族の内部から、彼等一族を消し去ろうという勢力が
生まれたとも言えます。
ロスチャイルド家が、非ユダヤ人の上流社会、貴族、王室との関係で
築き上げてきた巨大な"集金ダム"は、この男モズレーの出現により、その
壁に内部から穴を開けられることとなったのです。
さて、次回第三十五夜では、この一穴がロスチェイルド財閥に与えた
ダメージの大きさについてお話しする予定です。
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