2010.06.14
トンデモ話は奥で繋がる(33) 22.6.14
トンデモ話は奥で繋がる 「第三十三夜」
-弟子のクッテネルがお送りします。
≪第一次大戦の種とその果実を得た者≫
★ 第一次大戦のお膳立て
当時のイギリスは、カイロ、ケープタウンを結んでアフリカを南北に
縦貫し、あわせてカルカッタ(現コルカタ)との「インドへの道」を南北双
方から確保しようとする3C政策をとっていました。
一方ドイツは、その政策を突き破って、エジプトから南アフリカま
での進攻を企て、これが世界史の教科書では、第一次世界大戦の内
因とされています。
これを金融勢力の世界から見れば、第三十二夜で述べたとおりイ
ギリスのロスチャイルド財閥に対し、その利権を奪取しようとする、ド
イツの新興金融財閥の野望に置き換えかれます。
一方、戦端となったボスニアの首都サライェヴォはハプスブルグ家
のフェルディナント皇帝の一族の領地であり、ロスチャイルド財閥二
代目の5人の息子達は、1822年にかの皇帝から「男爵」の爵位を
賜っています。
また、ウィーン・ロスチャイルド商会のサロモンの出資により、18
37年には、オーストリア帝国最初の蒸気機関鉄道として、皇帝の名を
冠したフェルディナント皇帝鉄道を敷設しています。
そのオーストリアは、1908年ボスニアを併合し、ここにエーゲ海
まで抜ける鉄道を敷設します。この侵略行為に対して、同じバルカン半
島のセルビアの一青年が、その皇太子夫妻を暗殺し、これが戦争の
導火線となります。
オーストリアのバルカン半島進攻には、
兵器産業を中心とするドイツ新興資本が大
きな後ろ盾となっていました。
それに対しロスチャイルド商会は、一足早く
オーストリア南部鉄道をイタリア政府に
売却すると、さっさと逃げてしまいます。
(↑集英社文庫『赤い楯』第Ⅱ巻 P508-509より転載)
《クリック、虫眼鏡+で拡大表示されます。》
これにより枢軸国側、すなわちオーストリア側についた、 ドイツ、ト
ルコ、ブルガリアは、ほぼ新興資本勢力で固められる結果となります。
一方、セルビア側についたのはイギリス、フランス、イタリア、ロシ
ア、ベルギーということになります。前の3国はもちろんロスチャイル
ド財閥の拠点です。
ロシアは、ロマノフ家男爵グンツブルグとの政略結婚によりね事実上
ロスチャイルドの意のままに動く王朝一族、ベルギー・アントワープ
は、彼等のダイヤモンド・シンジケートの中枢です。
すなわち、ここに第一次世界大戦の真の図式がはっきりと現れます。
後は、新興勢力を叩き潰し、その利権を取り戻すばかりということで
す。 しかも、彼等はビジネスチャンスとしても利用したのです。
★ 第一次大戦の長期化の原因
大戦の当事者である政治家達は、ともに1年以内に終結させようと思
っていたとされます。しかし、これに異を唱える者がありました。第三十
二夜でお話したヴィッカースの陰の代理人であるザハロフでした。
彼は、「早期決着をつけ得るような、大量の兵器生産は無理であ
る」とのもっともらしい口実をつけて、兵器の生産工場の能力を抑え気
味にしていました。
また、ロスチャイルドとの共同体であるノーベル・ダイナマイト・トラスト
は、今やヨーロッパの全ての国に弾薬を供給する立場となり、開戦と同
時にトラストを解体して、各国のノーベル社を独立させます。
もし、どちらか一方だけに供給すれば、戦争は早期のうちに終結した
筈です。しかし、そうすれば莫大な利益を得るチャンスも失います。ノーベ
ル社は迷わず、会社の同一性を捨てて双方に弾薬を供給する道を選び
ます。
また、フランスがドイツとの国境近くに持っていたコミテ・デ・フォルジュ
製鉄所は、戦火の中でフランスがドイツに譲渡するという協定が、連合
国側であるはずのザハロフの仲介によって協定書が交わされます。
この製鉄所は、戦争の行方を左右するほどの生産力をもっていました
が、終戦の日まで無傷のまま、グルップの軍需工場として、大砲のた
めの鉄鋼を供給しつづけることとなります。
トルコに対しては、ザハロフはヴィッカース社が子会社を設立するよ
う働きかけ、また自らトルコ内の銀行を買収し、いつでも戦争体制に入
れるよう画策しています。
また、連合国側が和平のために開いた会議の席には、ザハロフが必
ず同席し、和平案をことごとく潰していました。こうして大戦が続いた4
年間でヴィッカース社は莫大な利益を得ることとなります。
★ 第一次大戦の最大の受益者は
一方、この戦争の最大の「利益国」となるイギリスは、この間の戦争
資金をアメリカのモルガン商会、すなわちイギリスのモルガン・グレン
フェルを通じてアメリカ大陸から調達していました。
その大金はイングランド銀行にプールされました。イングランド銀行
が国有化されるのは1946年のことで、当時はまだ民間銀行で、その
利益は個人の手に渡ることになります。
そして、戦勝国イギリスの得た利益は、このイングランド銀行とモル
ガン銀行の支配者達に配分されることとなるのです。
ヴィヴィアン・スミス…モルガン・グレンフェル会長で、父及び伯父
はイングランド銀行総裁
エドワード・グレクフェル…モルガン・グレンフェル創始者で、ヴィ
ヴィアン・スミスの従兄。大船舶オーナー
ランダル・スミス…モルガン・グレンフェル重役でヴィヴィアン・ス
ミスの息子。シェル石油、ヴィッカースの重役
第一次大戦の最大の利益者は、これら代表的なロスチャイルド家
のイギリス紳士だったのです。そして、彼等の欲望を満たすため、多く
のヨーロッパの人々が4年間もの間戦争の恐怖にさらされたのです。
さて、次回第三十四夜では、この大戦を通じて現れた、彼等の予想し
ていなかった脅威についてお話することとなります。
目次のペーシへはこちらから
-弟子のクッテネルがお送りします。
≪第一次大戦の種とその果実を得た者≫
★ 第一次大戦のお膳立て
当時のイギリスは、カイロ、ケープタウンを結んでアフリカを南北に
縦貫し、あわせてカルカッタ(現コルカタ)との「インドへの道」を南北双
方から確保しようとする3C政策をとっていました。
一方ドイツは、その政策を突き破って、エジプトから南アフリカま
での進攻を企て、これが世界史の教科書では、第一次世界大戦の内
因とされています。
これを金融勢力の世界から見れば、第三十二夜で述べたとおりイ
ギリスのロスチャイルド財閥に対し、その利権を奪取しようとする、ド
イツの新興金融財閥の野望に置き換えかれます。
一方、戦端となったボスニアの首都サライェヴォはハプスブルグ家
のフェルディナント皇帝の一族の領地であり、ロスチャイルド財閥二
代目の5人の息子達は、1822年にかの皇帝から「男爵」の爵位を
賜っています。
また、ウィーン・ロスチャイルド商会のサロモンの出資により、18
37年には、オーストリア帝国最初の蒸気機関鉄道として、皇帝の名を
冠したフェルディナント皇帝鉄道を敷設しています。
そのオーストリアは、1908年ボスニアを併合し、ここにエーゲ海
まで抜ける鉄道を敷設します。この侵略行為に対して、同じバルカン半
島のセルビアの一青年が、その皇太子夫妻を暗殺し、これが戦争の
導火線となります。

オーストリアのバルカン半島進攻には、
兵器産業を中心とするドイツ新興資本が大
きな後ろ盾となっていました。
それに対しロスチャイルド商会は、一足早く
オーストリア南部鉄道をイタリア政府に
売却すると、さっさと逃げてしまいます。
(↑集英社文庫『赤い楯』第Ⅱ巻 P508-509より転載)
《クリック、虫眼鏡+で拡大表示されます。》
これにより枢軸国側、すなわちオーストリア側についた、 ドイツ、ト
ルコ、ブルガリアは、ほぼ新興資本勢力で固められる結果となります。
一方、セルビア側についたのはイギリス、フランス、イタリア、ロシ
ア、ベルギーということになります。前の3国はもちろんロスチャイル
ド財閥の拠点です。
ロシアは、ロマノフ家男爵グンツブルグとの政略結婚によりね事実上
ロスチャイルドの意のままに動く王朝一族、ベルギー・アントワープ
は、彼等のダイヤモンド・シンジケートの中枢です。
すなわち、ここに第一次世界大戦の真の図式がはっきりと現れます。
後は、新興勢力を叩き潰し、その利権を取り戻すばかりということで
す。 しかも、彼等はビジネスチャンスとしても利用したのです。
★ 第一次大戦の長期化の原因
大戦の当事者である政治家達は、ともに1年以内に終結させようと思
っていたとされます。しかし、これに異を唱える者がありました。第三十
二夜でお話したヴィッカースの陰の代理人であるザハロフでした。
彼は、「早期決着をつけ得るような、大量の兵器生産は無理であ
る」とのもっともらしい口実をつけて、兵器の生産工場の能力を抑え気
味にしていました。
また、ロスチャイルドとの共同体であるノーベル・ダイナマイト・トラスト
は、今やヨーロッパの全ての国に弾薬を供給する立場となり、開戦と同
時にトラストを解体して、各国のノーベル社を独立させます。
もし、どちらか一方だけに供給すれば、戦争は早期のうちに終結した
筈です。しかし、そうすれば莫大な利益を得るチャンスも失います。ノーベ
ル社は迷わず、会社の同一性を捨てて双方に弾薬を供給する道を選び
ます。
また、フランスがドイツとの国境近くに持っていたコミテ・デ・フォルジュ
製鉄所は、戦火の中でフランスがドイツに譲渡するという協定が、連合
国側であるはずのザハロフの仲介によって協定書が交わされます。
この製鉄所は、戦争の行方を左右するほどの生産力をもっていました
が、終戦の日まで無傷のまま、グルップの軍需工場として、大砲のた
めの鉄鋼を供給しつづけることとなります。
トルコに対しては、ザハロフはヴィッカース社が子会社を設立するよ
う働きかけ、また自らトルコ内の銀行を買収し、いつでも戦争体制に入
れるよう画策しています。
また、連合国側が和平のために開いた会議の席には、ザハロフが必
ず同席し、和平案をことごとく潰していました。こうして大戦が続いた4
年間でヴィッカース社は莫大な利益を得ることとなります。
★ 第一次大戦の最大の受益者は
一方、この戦争の最大の「利益国」となるイギリスは、この間の戦争
資金をアメリカのモルガン商会、すなわちイギリスのモルガン・グレン
フェルを通じてアメリカ大陸から調達していました。
その大金はイングランド銀行にプールされました。イングランド銀行
が国有化されるのは1946年のことで、当時はまだ民間銀行で、その
利益は個人の手に渡ることになります。
そして、戦勝国イギリスの得た利益は、このイングランド銀行とモル
ガン銀行の支配者達に配分されることとなるのです。
ヴィヴィアン・スミス…モルガン・グレンフェル会長で、父及び伯父
はイングランド銀行総裁
エドワード・グレクフェル…モルガン・グレンフェル創始者で、ヴィ
ヴィアン・スミスの従兄。大船舶オーナー
ランダル・スミス…モルガン・グレンフェル重役でヴィヴィアン・ス
ミスの息子。シェル石油、ヴィッカースの重役
第一次大戦の最大の利益者は、これら代表的なロスチャイルド家
のイギリス紳士だったのです。そして、彼等の欲望を満たすため、多く
のヨーロッパの人々が4年間もの間戦争の恐怖にさらされたのです。
さて、次回第三十四夜では、この大戦を通じて現れた、彼等の予想し
ていなかった脅威についてお話することとなります。
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