2010.04.26
トンデモ話は奥で繋がる(24) 22.4.26
トンデモ話は奥で繋がる 「第二十四夜」
-弟子のクッテネルがお送りします。
≪原子力発電のウソに気をつけろ①≫
★ 「脇道」を歩いていたはずなのに?
第二十三夜まで、小生が「スピリチュアリズム」の世界を知るよう
になった経緯を書いて来ました。ここからさらに、様々な文献に出会
って、"ハンディー∞"の「スピリチュアリズム探求」が続くのですが、
ここからしばらくは、「脇道」の話をしようと思います。
そして、これからの話は、ある種の「トンデモ話」の信奉者にとっ
ては、今さら説明するまでもない話へと繋がってゆくのです。
話は第二夜まで遡ります。小生の「独人誌」のもうひとつのテーマ
が「原子力発電」の是非についてでした。1979年の米・スリーマイル
島、1986年のチェルノブイリの原発事故以来、息を潜めていた原子力
発電ですが、最近は「地球温暖化」のまことしやかな喧伝とともに、
「エコ・エネルギー」として推進する輩も出ています。
恐らくこんな話は、専ら「スピリチュアリズム」に専念されている
方々にとっては、せいぜい「クリーンなのはいいけど事故が心配」ぐ
らいの関心しかないのではと思います。
実のところ、小生自身も当時は「スピリチュアリズム」とは無縁の
事として取り扱ってきたのですが、実は欠かすことの出来ない視点の
ひとつに繋がることが、次第に見えてくることになります。
★ 「チェルノブイリ」はどう報道されたか
さて、まずは「原子力発電のウソ」の一般的
な話から始めます。しばらく、放射性物質の基
礎的な話が続くことになりますが、原子力発電
の無謀さを示すために知っていただきたいこと
ですので、ご容赦ください。
かく言う小生も、学生時代は「原爆と原子力
発電を同列に考えてはいけない」と考えていた
一人で、使用済み核燃料の適切な管理さえな
されれば問題ないのではないかと思っていた
のです。
しかし、立て続けに起きた原子力発電所の事故で「本当に人間が管
理できるのか」という疑問を持って手にした文庫本が、「広瀬隆」の
『新版 危険な話~チェルノブイリにと日本の運命』でした。
この文庫本は、「チェルノブイリ原発事故」から1年後の1987年4月
に八月書館から発行された『危険な話』の加筆・改定版として1989年
4月に発行されたものです。
広瀬氏は、事故のあった1986年4月26日以降に報道された、実際の新
聞記事の切り抜きを使って丹念に説明していきます。ポイントとなる
のは以下の2記事で、
① 4月29日 北欧に強い放射能。大気からコバルト検出
② 5月 2日 スウェーデンに降下した放射性物質のうち、ルテニウム、
セリウム、ネプツニウムといった非揮発性の物質の割合が、
驚くほど高かった
という、科学的知識の無い一般庶民にとっては、「遠くまで飛んでい
った」としか理解できないものです。
そしてその後、当時のソ連政府は以下のような発表をします。
③ 6月 6日 放出放射能は数千万キュリー。炉心溶融は起きず。
日本の新聞も、何の疑いも無くそのままの数値を報道します。
ところが、8月になってIAEA(国際原子力機関)に提出したレポートでは
④ ヨウ素131 20%放出、セシウム137 13%放出、
ストロンチウム90 0.22%放出、推定3億キュリー以上
と、10倍も違う数値を報告され、新聞各紙はようやく「億単位」の報道を
掲載します。しかし、ここでも「キュリー」という単位に誤魔化されて、素
人にはその危険度は全くわかりません。
★ 新聞社の書かなかった部分
しかし、広瀬氏は報告当初から、数値にごまかしがあることを見抜いてい
ました。まずは、「チェルノブイリ」級の100万キロワットの原子炉に、半減
期が1日以上(つまり、半分以上は翌日まで放射能が残る)の放射性原子がある
かですが、英国版「ネイチャー1986年5月号」が掲載したリストは次のように
なっています。(沸点及び主なガン発生は著書等より補記)
放射性原子 半減期 内臓量(キュリー ) 沸点(℃) 主なガン発生
ヨウ素133 0.875 日 1億7000万 185 甲状腺
キセノン13 5.3 日 1億7000万 -108 骨髄
バリウム140 12.8 日 1億6000万 1870 骨髄・卵巣
テルル132 3.25 日 1億2000万 988
ストロンチウム89 50.6 日 1億1000万 1639 骨髄
ヨウ素131 8.05 日 8500万 185 甲状腺
テルル131 1.25 日 1500万 988
テルル129 34.1 日 1000万 988
セシウム136 112.9 日 600万 760 卵巣・筋肉
セシウム137 30 年 580万 760 卵巣・筋肉
ストロンチウム90 27.7 年 520万 1639 脊髄
セシウム134 2 年 170万 760 卵巣・筋肉
クリプトン85 10.76 年 60万 -153 卵巣・肺
合計 8億5930万 キュリー
ところで、①②に記載のあった「非揮発性」の金属の融点、沸点と比重
はというと、
原子名 融点 沸点 比重
コバルト 1495℃ 2927℃ 8.9
セリウム 795℃ 3468℃ 6.7
ルテニウム 2450℃ 3700℃ 12.4
ネプツニウム 637℃ 4000℃ 20.5

ちなみに、「ネプツニウム」は比較的安定
している「ウラン238」が中性子を1つ取り込
み「ウラン239」となった後、その構造の変
化して「ネプツニウム239」となるもので、
数日後には「プルトニウム239」となって核
物質へと変る間の中間的な原子です。
この比重が20.5、つまり水の20.5倍の重
さです。500ccの缶に入れれば、スー
パーで売っている米袋の大(約10㎏)の
重さになる勘定です。(純金が19.3ですから
それより重い金属なのです。)
これがチェルノブイリから約1400km(東京
ー博多間とほぼ同じ)離れたスウェーデン
に落下したということは、ほとんど「気化」す
るほどの高温となった熱気流が発生したとし
か考えられません。
(『新版 危険な話~チェルノブイリにと日本の運命』p65図 より)

(『新版 危険な話~チェルノブイリにと日本の運命』p18図 より)
となれば、炉心の温度は、これらの金属の沸点近く、少なくとも3000℃近
い高温であった、ならば上記の放射性物質は全て「気化」して、熱気流とと
もに舞い上がったと考えるのが自然です。
それにもかかわらず、IAEAの報告時さえ、「沸点185℃のヨウ素131はわず
か20%しか漏れていない」としたソ連の報告を、科学部を持つ新聞社が、そ
してIAEA自身が「疑わない」のか。この辺りに、原子力発電について「大本
営発表化」しているマスコミの体質がうかがえます。
★ わずか5キュリーの悲劇
さて、「キュリー」という単位を実感させる一つの実話が、この著書の中
で紹介されています。
1962年3月21日、メキシコの一軒の家に越してきた5人家族(夫30歳、妻27
歳、息子10歳、娘2歳、と途中から同居した祖母)にその悲劇は起こりました。
どういう事情かはわかりませんが、その空家には「コバルト60」の入った
容器が置き去りにされていました。その放射能は5キュリーです。
そうとは知らない家族の誰かが容器を空け、息子はそれをズボンのポケット
に入れて遊びに行き、引越しの日から10日後、洗濯時に気づいた妻は、それを
台所の引き出しにしまいます。以下、この4月1日を1日目とします。
16日目、息子は体の具合が悪くなり入院します。
17日目、同居することになった祖母が、台所のガラス製のタンブラーが、放
射線を受けて黒ずんでいるのを見ます。もちろん原因は知りません。
25日目、息子のポケットのあった太股の壊死が確認されます。
29日目、息子死亡。その日、夫は妻の手の爪の黒ずみと、歯茎からの出血を
確認しています。その後症状は悪化してゆきます。
108日目、妻がめまいと発熱の人事不省で入院。翌日死亡。
140日目、娘が全身の破壊症状の末入院。翌々日死亡。
144日目、夫は祖母と連れ立って入院。夫は検査の結果「精子」がないことが
判明。
158日目、夫のみ退院。しかし、その後消息不明(恐らく死亡)
195日目、祖母が肺からの大量出血で死亡。
つまり、チェルノブイリの原発は、この悲劇を1億の家族、つまりほぼ日本の全
家族を、200日以内に死に至らしめるのに十分な放射能を撒き散らしたということ
なのです。
★ 被爆より恐ろしい被曝
ここで、放射線について少し説明しておきます。
放射線にはα線、β線、γ線の3種類があります。α線は「陽子2中性子2の原
子核の粒」で、プルトニウム等が放出します。しかし、それが空気中で飛ぶ距離は
たったの4㎝ですので、プルトニウムから適当な距離を保っていれば「被爆」しま
せん。
β線は「電子の粒子」で、ストロンチウム等から出てきますが、これも空気中で
は数メートルしか飛びませんので、それなりの距離を保てば「被爆」しません。
γ線は「光子」で、上記のコバルト60等から放出されますが、これはあらゆるも
のを射抜いて何処までも飛んでゆきます。「光」と違うのは、とてつもないエネル
ギーを持っていることで、直接「眼」に受ければ失明してしまいます。とにかく、
「被爆」危険の地帯には近づかないしかありません。
普通、許容ヒバク量とか言っているのは、こうした外部からの飛来放射能の強さ
のことです。ところが、こうした放射性物質の微小な粒を、たとえ1原子のみにしろ、
吸い込んだり、食物と一緒に取り込んでしまった場合の「被曝」については、全く
様相が変ってきます。
例えばわずか4㎝しか飛ばないプルトニウムのα線も、呼気と共に肺の壁面に貼
り付いてしまえば、わずか0.001㎜の距離にある細胞のDNAをズタズタに切り裂いて
確実にガン化させます。つまり、この場合には「被曝量」が基準値以下であること
は全く意味をもたないのです。
にもかかわらず、原子力関係者は「わずかこれだけのヒバク量では、事故とガン
発生の因果関係は認められない」という言い方をして、その責任を回避してしまう
のです。
しかし、「チェルノブイリ級の事故さえ起きなければ、そんな危険性は発生しな
い。日本の原子力発電所の管理能力からすれば、危険性はほとんど無い」という反
論が聞こえてきます。しかし、チェルノブイリの原発事故からわずか2年後に起き
た、関西電力の美浜二号の「蒸気発生器の細菅のギロチン破断事故」は、それが
幻想であることを露呈させたのです。
次回第二十五夜では、その事故の危険性と、最後の防壁であるはずの「緊急炉心
冷却装置(ECCS)」の欠陥について述べたいと思います。
目次のペーシへはこちらから
-弟子のクッテネルがお送りします。
≪原子力発電のウソに気をつけろ①≫
★ 「脇道」を歩いていたはずなのに?
第二十三夜まで、小生が「スピリチュアリズム」の世界を知るよう
になった経緯を書いて来ました。ここからさらに、様々な文献に出会
って、"ハンディー∞"の「スピリチュアリズム探求」が続くのですが、
ここからしばらくは、「脇道」の話をしようと思います。
そして、これからの話は、ある種の「トンデモ話」の信奉者にとっ
ては、今さら説明するまでもない話へと繋がってゆくのです。
話は第二夜まで遡ります。小生の「独人誌」のもうひとつのテーマ
が「原子力発電」の是非についてでした。1979年の米・スリーマイル
島、1986年のチェルノブイリの原発事故以来、息を潜めていた原子力
発電ですが、最近は「地球温暖化」のまことしやかな喧伝とともに、
「エコ・エネルギー」として推進する輩も出ています。
恐らくこんな話は、専ら「スピリチュアリズム」に専念されている
方々にとっては、せいぜい「クリーンなのはいいけど事故が心配」ぐ
らいの関心しかないのではと思います。
実のところ、小生自身も当時は「スピリチュアリズム」とは無縁の
事として取り扱ってきたのですが、実は欠かすことの出来ない視点の
ひとつに繋がることが、次第に見えてくることになります。
★ 「チェルノブイリ」はどう報道されたか

な話から始めます。しばらく、放射性物質の基
礎的な話が続くことになりますが、原子力発電
の無謀さを示すために知っていただきたいこと
ですので、ご容赦ください。
かく言う小生も、学生時代は「原爆と原子力
発電を同列に考えてはいけない」と考えていた
一人で、使用済み核燃料の適切な管理さえな
されれば問題ないのではないかと思っていた
のです。
しかし、立て続けに起きた原子力発電所の事故で「本当に人間が管
理できるのか」という疑問を持って手にした文庫本が、「広瀬隆」の
『新版 危険な話~チェルノブイリにと日本の運命』でした。
この文庫本は、「チェルノブイリ原発事故」から1年後の1987年4月
に八月書館から発行された『危険な話』の加筆・改定版として1989年
4月に発行されたものです。
広瀬氏は、事故のあった1986年4月26日以降に報道された、実際の新
聞記事の切り抜きを使って丹念に説明していきます。ポイントとなる
のは以下の2記事で、
① 4月29日 北欧に強い放射能。大気からコバルト検出
② 5月 2日 スウェーデンに降下した放射性物質のうち、ルテニウム、
セリウム、ネプツニウムといった非揮発性の物質の割合が、
驚くほど高かった
という、科学的知識の無い一般庶民にとっては、「遠くまで飛んでい
った」としか理解できないものです。
そしてその後、当時のソ連政府は以下のような発表をします。
③ 6月 6日 放出放射能は数千万キュリー。炉心溶融は起きず。
日本の新聞も、何の疑いも無くそのままの数値を報道します。
ところが、8月になってIAEA(国際原子力機関)に提出したレポートでは
④ ヨウ素131 20%放出、セシウム137 13%放出、
ストロンチウム90 0.22%放出、推定3億キュリー以上
と、10倍も違う数値を報告され、新聞各紙はようやく「億単位」の報道を
掲載します。しかし、ここでも「キュリー」という単位に誤魔化されて、素
人にはその危険度は全くわかりません。
★ 新聞社の書かなかった部分
しかし、広瀬氏は報告当初から、数値にごまかしがあることを見抜いてい
ました。まずは、「チェルノブイリ」級の100万キロワットの原子炉に、半減
期が1日以上(つまり、半分以上は翌日まで放射能が残る)の放射性原子がある
かですが、英国版「ネイチャー1986年5月号」が掲載したリストは次のように
なっています。(沸点及び主なガン発生は著書等より補記)
放射性原子 半減期 内臓量(キュリー ) 沸点(℃) 主なガン発生
ヨウ素133 0.875 日 1億7000万 185 甲状腺
キセノン13 5.3 日 1億7000万 -108 骨髄
バリウム140 12.8 日 1億6000万 1870 骨髄・卵巣
テルル132 3.25 日 1億2000万 988
ストロンチウム89 50.6 日 1億1000万 1639 骨髄
ヨウ素131 8.05 日 8500万 185 甲状腺
テルル131 1.25 日 1500万 988
テルル129 34.1 日 1000万 988
セシウム136 112.9 日 600万 760 卵巣・筋肉
セシウム137 30 年 580万 760 卵巣・筋肉
ストロンチウム90 27.7 年 520万 1639 脊髄
セシウム134 2 年 170万 760 卵巣・筋肉
クリプトン85 10.76 年 60万 -153 卵巣・肺
合計 8億5930万 キュリー
ところで、①②に記載のあった「非揮発性」の金属の融点、沸点と比重
はというと、
原子名 融点 沸点 比重
コバルト 1495℃ 2927℃ 8.9
セリウム 795℃ 3468℃ 6.7
ルテニウム 2450℃ 3700℃ 12.4
ネプツニウム 637℃ 4000℃ 20.5

ちなみに、「ネプツニウム」は比較的安定
している「ウラン238」が中性子を1つ取り込
み「ウラン239」となった後、その構造の変
化して「ネプツニウム239」となるもので、
数日後には「プルトニウム239」となって核
物質へと変る間の中間的な原子です。
この比重が20.5、つまり水の20.5倍の重
さです。500ccの缶に入れれば、スー
パーで売っている米袋の大(約10㎏)の
重さになる勘定です。(純金が19.3ですから
それより重い金属なのです。)
これがチェルノブイリから約1400km(東京
ー博多間とほぼ同じ)離れたスウェーデン
に落下したということは、ほとんど「気化」す
るほどの高温となった熱気流が発生したとし
か考えられません。
(『新版 危険な話~チェルノブイリにと日本の運命』p65図 より)

(『新版 危険な話~チェルノブイリにと日本の運命』p18図 より)
となれば、炉心の温度は、これらの金属の沸点近く、少なくとも3000℃近
い高温であった、ならば上記の放射性物質は全て「気化」して、熱気流とと
もに舞い上がったと考えるのが自然です。
それにもかかわらず、IAEAの報告時さえ、「沸点185℃のヨウ素131はわず
か20%しか漏れていない」としたソ連の報告を、科学部を持つ新聞社が、そ
してIAEA自身が「疑わない」のか。この辺りに、原子力発電について「大本
営発表化」しているマスコミの体質がうかがえます。
★ わずか5キュリーの悲劇
さて、「キュリー」という単位を実感させる一つの実話が、この著書の中
で紹介されています。
1962年3月21日、メキシコの一軒の家に越してきた5人家族(夫30歳、妻27
歳、息子10歳、娘2歳、と途中から同居した祖母)にその悲劇は起こりました。
どういう事情かはわかりませんが、その空家には「コバルト60」の入った
容器が置き去りにされていました。その放射能は5キュリーです。
そうとは知らない家族の誰かが容器を空け、息子はそれをズボンのポケット
に入れて遊びに行き、引越しの日から10日後、洗濯時に気づいた妻は、それを
台所の引き出しにしまいます。以下、この4月1日を1日目とします。
16日目、息子は体の具合が悪くなり入院します。
17日目、同居することになった祖母が、台所のガラス製のタンブラーが、放
射線を受けて黒ずんでいるのを見ます。もちろん原因は知りません。
25日目、息子のポケットのあった太股の壊死が確認されます。
29日目、息子死亡。その日、夫は妻の手の爪の黒ずみと、歯茎からの出血を
確認しています。その後症状は悪化してゆきます。
108日目、妻がめまいと発熱の人事不省で入院。翌日死亡。
140日目、娘が全身の破壊症状の末入院。翌々日死亡。
144日目、夫は祖母と連れ立って入院。夫は検査の結果「精子」がないことが
判明。
158日目、夫のみ退院。しかし、その後消息不明(恐らく死亡)
195日目、祖母が肺からの大量出血で死亡。
つまり、チェルノブイリの原発は、この悲劇を1億の家族、つまりほぼ日本の全
家族を、200日以内に死に至らしめるのに十分な放射能を撒き散らしたということ
なのです。
★ 被爆より恐ろしい被曝
ここで、放射線について少し説明しておきます。
放射線にはα線、β線、γ線の3種類があります。α線は「陽子2中性子2の原
子核の粒」で、プルトニウム等が放出します。しかし、それが空気中で飛ぶ距離は
たったの4㎝ですので、プルトニウムから適当な距離を保っていれば「被爆」しま
せん。
β線は「電子の粒子」で、ストロンチウム等から出てきますが、これも空気中で
は数メートルしか飛びませんので、それなりの距離を保てば「被爆」しません。
γ線は「光子」で、上記のコバルト60等から放出されますが、これはあらゆるも
のを射抜いて何処までも飛んでゆきます。「光」と違うのは、とてつもないエネル
ギーを持っていることで、直接「眼」に受ければ失明してしまいます。とにかく、
「被爆」危険の地帯には近づかないしかありません。
普通、許容ヒバク量とか言っているのは、こうした外部からの飛来放射能の強さ
のことです。ところが、こうした放射性物質の微小な粒を、たとえ1原子のみにしろ、
吸い込んだり、食物と一緒に取り込んでしまった場合の「被曝」については、全く
様相が変ってきます。
例えばわずか4㎝しか飛ばないプルトニウムのα線も、呼気と共に肺の壁面に貼
り付いてしまえば、わずか0.001㎜の距離にある細胞のDNAをズタズタに切り裂いて
確実にガン化させます。つまり、この場合には「被曝量」が基準値以下であること
は全く意味をもたないのです。
にもかかわらず、原子力関係者は「わずかこれだけのヒバク量では、事故とガン
発生の因果関係は認められない」という言い方をして、その責任を回避してしまう
のです。
しかし、「チェルノブイリ級の事故さえ起きなければ、そんな危険性は発生しな
い。日本の原子力発電所の管理能力からすれば、危険性はほとんど無い」という反
論が聞こえてきます。しかし、チェルノブイリの原発事故からわずか2年後に起き
た、関西電力の美浜二号の「蒸気発生器の細菅のギロチン破断事故」は、それが
幻想であることを露呈させたのです。
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