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トンデモ話は奥で繋がる(131) 23.10.30

トンデモ話は奥で繋がる 「第131夜」
-弟子のクッテネルがお送りします。

≪輪廻転生 ①≫
 
 ★ 敬遠される『人智学』

 シュタイナーの思想については、それに言及する幾多の執筆者達が戸惑いながら
表現するように、『シュタイナー教育者』としての彼の言動と、『人智学者』としてのそ
れは、世間一般の理解度には大きなへだたりがあります。

 黒柳徹子が『窓際のトットちゃん』で世間の耳目を集めた『シュタイナー教育』に対
する評価は、現行の進学制度には馴染まないという批判はあるにせよ、ひとつの教育
の方法論としては、一般人の理解の範囲内に収まるものです。

 しかし、彼の始めた『人智学』については、同じ根源を持つ思想でありながら、始め
から『オカルト』の範疇に分類され、日常の話題として取り上げること自体、正気の沙
汰でないという取り扱いを受けています。

 かく言う小生も、『高橋巌氏』や『西川隆範氏』の書に初めて接した頃には、こうし
たトンデモ話のイロハも解っていない時期でしたので、そこに書かれている内容自体、
一体何を説明しようとしているのかさえ解りませんでした。

 しからば、今は理解できたのかと言えば、未だにそのほんの一部分しか理解できて
いません。しかしながら、こうしてトンデモ話を取捨選択して、その共通項を繋げていく
につれ、『人智学』という、食べてもいない料理ながら、その『臭い』からすると同じなの
でではないかと、嗅覚が訴えかけてくるのです。

 ★ 正直者・西平直の告白

縮シュタイナー入門  そんな中、最近図書館で見つけた書籍が、東大大学院・教育学
助教授(1999年当時)である西平直氏の『シュタイナー入門』
《講談社現代新書》です。

   まずは、氏自身が『あとがき』で書いている部分を紹介してみます。

 「 本文でも何度か白状した通り、私には、シュタイナー
     の語る『超感覚的次元』が十分納得できていない
         さしあたり、 『感覚』を『超えた』次元と想定して、話
      を聞くしかなかった。

   そうした私であったが、実は、20年近く前、初めてシュタイナーの名
  を耳にした頃、張り切って、その教えるところの瞑想訓練を続けていた
      ことがある。
  (…中略…)

   くる日も来る日も、暇さえあれば一人その観法を続けて、半年たった
      ある日、かなり深い瞑想状態が訪れた。そして、突然、今までに体験し
  たことのない意識状態になった。

   まろやかな乳白色の光に包まれた、静かな守られた空間。『僕はこ
  の地上にやって来た』
。その時はっきり感じた。
   若しくは、その時初めて体験した驚きを、言葉に書き留めるとしたら、
  そのようにしか表現できなかった。恐らく、その『僕』が日常意識の主語
  とは、違っていた
のだろう。 
  (…中略…)

   そうした意識状態が、シュタイナーで言えばどう説明されるか事なの
  か、それも確かめないまま、何故か、私は、続けていた瞑想訓練を、
  その日を境に止めてしまった。

   何といったらよいのか。一人で続けるのが怖くなったのだろうか。それ
  とも、その体験があまりにも素晴らしかったので、もはや満足してしまっ
  たのか。
  (…中略…)

   そういう訳で、私は、訓練を続けてゆくと、異なる意識状態が訪れる
  とまでは、体験的に知っている。そして、異なる仕方で姿を現すであろう
  ことも、十分予感している。

   だから、シュタイナーの話が、どんなに日常意識の常識とは違ってい
  ても、その道の師匠に就いて専門的な訓練を続けてゆけば、世界が異
  なる姿を現してくることは間違いない
と思っている。

   それがシュタイナーの語る通りであるのか、或いは、シュタイナーの訓
  練法で進めてゆくと、シュタイナーの語る通りに世界が姿を現すのか、そ
  の辺りは、よく分からない。
  (…中略…)

   ただ、ひとつ、こんな怠慢な者にも言えることがある。『科学的な意識
  (日常意識)に姿を現す世界』だけを『唯一の現実』として、それ以外の
  多様な認識は、全て切り捨ててしまうというのでは、あまりにももったい
  ない。
  (…中略…)

   少なくとも、人類史上、綿々と受け継がれてきたそうした伝統を、私達
  の世代で絶やしてしまうのは、あまりにも『もったいない』ように思えて
  ならないのである。」
   
 (西平直『シュタイナー入門』pp194-196《講談社現代新書》より転載) 
   
 西平氏のこの言葉は、3つの点で勇気ある行為です。

 第一に、東大・京大で教壇に立つ身でありながら、自身の専攻に関することついて、
シュタイナーの『人智学』の側面については誤魔化すことなく『分らない』と告白
ている点です。

 第二に、『シュタイナー教育論』だけを考えるならば、敢えて触れずとも許されるであ
ろう『人智学』の深い部分について避けることなく言及し、氏自身の態度について明ら
かにしている点です。

 そして第三に、その上で『人智学』を『超常識的なもの』として否定的に捉えず、かつ
『オカルト信奉者』と捕らえかねない、自身の瞑想経験まで語って、その知識の
継承の意義を問いかけている点です。

 ★ 言葉を超える伝達

 恐らく氏自身も、自身の置かれた立場を考える時、シュタイナーの言わんとすること
を十分理解できないまま、それを肯定する書物を出すことについて、かなりの抵抗が
あったことと思います。

 しかし、シュタイナーの『人智学』を人々へ敷衍しようとする、どこまでも真摯な想
いは、たとえ「言わんとすること」が分らなくても、それが真実なのではないかという、
「言葉」を超えたシンクロニシティが働くのではないかと思います。

 無論、そのように得られた直感的な想いは、正確な言葉にして、誰にも分るように伝
える術はありません。しかし、当人はそれを誰かに伝えずにはいられないのです
そんな想いが、西平氏に、この書物を書かせたのではないかと思います。

 さらに言えば、それはシュタイナー氏自身にも言えた事ではないかと、小生は思
います。生まれながら、特異な能力で異界が見えていた彼にとって、それを言葉で説
明する
ことは水を見たことが無い人に、海を説明するようなものだったでしょう。

 しかし、シュタイナー氏は、海を知っている者として、その素晴らしさを、伝えずにはお
られなかったのです。『水』などという馬鹿げた物は無いという人たち、何とかし
てそれを感覚で捉えさせようと、持てる限りの情熱をぶつけたのです。

 ( このことは、卑小ながら、このブログを始めた小生自身にも言えることです。
恐らく、小生自身が書いてきた『言葉』そのものは、伝えるべき本質のほんの一
側面しか表せていないですし、自身が理解できていないものも多々あります。)

 もっとも、それがうまく伝わるかどうかは分りません。ただし、無駄な努力ではない
です。何故なら、我々は既に『全ての真実を共有している』存在だからです。つまり、
そのことを忘れているだけであり、思い出しさえすればよいからです。

 その共通意識こそが『キリスト意識』であり、そのための方法が『ミトラ神学』に受け
継がれました。そして、それを最も忠実に継承しているのが、シュタイナーの『人智学』
であると言われています。

 当然ながら、小生の力量では、シュタイナーの思想のほんの一部分しか理解
できませんし、誤った解釈もあるかもしれませんが、以下、西平氏の解釈等を
手がかりに、次回第132夜から小生なりの解釈をしてゆこうと思います。

( 追伸 )

 中曽根君、君にも西平氏の正直さがあったらねえ

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握力は小学生よりない力なし。ひっそりとこのシャバの片隅でモーニングを食べている凡人です。猫、鳥、虫等、とやり合いながら暮らしています。

るんるうん

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またの名はクマネルです。ふしぎなことが好きです。着物も好きです。

たまに、魚を捌きます。猫におしっこをかけられたこともありますし、珍しい体験もあります。

たまに-クッテネル-が記事を書きます。そちらもよろしく。

いつのまにか歳をとりました。

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